【女子サッカー】「技術だけじゃない。50/50は絶対に負けない」――アメリカ大学女子サッカーに挑む小瀬 和佳奈さんのリアル

高校時代からサッカーを続けながら、アメリカの大学で学ぶ道を選んだ小瀬 和佳奈さん。
現在はケンタッキー州にある University of the Cumberlands で Fitness & Sport Management(フィットネス&スポーツマネジメント) を専攻しながら、女子サッカー部のアタッキングミッドフィルダー/ウィングとしてプレーしています。

「日本では技術が通用しても、アメリカではフィジカルで負けたら試合に出られない。」
「チームの原則を理解し、毎日の練習から本気で取り組まないと、どんなに上手くても試合には立てない。」

そう語る彼女は、高校時代に英語の勉強を始め、2年制大学から4年制大学へと編入して夢を切り開いてきました。
今回のインタビューでは、海外進学を決意したきっかけ、渡米前の準備、大学サッカーのリアルな環境、生活の工夫、そして将来のビジョンまで、率直に語っていただきました。
サッカー留学やアメリカ進学、スポーツで海外挑戦を考えている方にとって、きっと参考になるはずです。

コンテンツ

選手プロフィール

名前小瀬 和佳奈(おせ わかな)さん
所属大学University of the Cumberlands(アメリカ・ケンタッキー州)
専攻Fitness & Sport Management
ポジションアタッキングミッドフィルダー / ウィング
経歴佐久長聖高校(長野県)卒業後、英語学習を経てテキサス州 Navarro College(2年制大学)へ進学。
その後 University of the Cumberlands へ編入。

自己紹介・現在の環境

現在通っている大学・専攻・サッカー部でのポジションを教えてください

私の名前は小瀬 和佳奈です。
今はケンタッキー州にある4年制大学、University of the Cumberlands に通っています。
専攻はフィットネス&スポーツマネジメントを取っていて、サッカーではアタッキングミッドとウィングを中心にプレーしています。
アメリカに来てからアタッキングミッドを始めました。技術は通用していますが、体で当てられると倒れてしまうことも多く、当初はフィジカルの強さに苦労しました。

これまでの流れはどんな形でしたか?

高校を卒業してから約1年間英語を勉強し、その後Navarro Collegeというテキサス州にある2年制大学に入学しました。
そこで2年間プレーした後、現在のUniversity of the Cumberlandsに編入しています。

アメリカ進学を目指したきっかけ

いつ頃から「海外進学+サッカー」を意識し始めましたか?

もともと高校生の時からサッカーのコーチになりたいという夢があって、大学でもどこにいてもサッカーを続けようと考えていました。
高校1年生の終わり〜2年の始まりに、コロナ禍で学校の授業が少なくなり、寮で勉強する時間がありましたがやることもなく、ぼんやりしていた時に一緒にサッカーをしていた友達がすでに海外を目指して英語を勉強しているのを見て、自分も海外を視野に入れてみようと思いました。
サッカーのレベルが高いアメリカのことは知ってはいたので、よりハイレベルな文武両道を実現したいと考えたことがきっかけです。

高校時代、日本でのサッカーと勉強の両立はどうしていましたか?

正直、今思えばあまりできていなかったなと感じていまいます。
高校の寮生活の中で決められた学習時間があったので、そこで英語をやっていましたが、今振り返るともっとできたと思います。
高校の課題は少なかったので、その時間をうまく使っていました。

海外進学を考えるうえで一番不安だったことは何でしたか?

やっぱり英語が話せるのかどうか、アメリカで生活できるのかイメージが湧かなかったことが一番不安でした。
ただ、高校在学中に短期でアメリカに行ったことで、英語の話される現地でのスピードや現地の雰囲気を体感できてイメージが少し湧いたのは大きかったです。

準備プロセス

英語学習はどのようにしましたか?

TOEFL iBT のスコアが必要だったので、形式を理解してどうやって解くかを重点的に勉強しました。
特に自分の苦手なスキルを集中して強化し、合格ラインまで点数を引き上げることにフォーカスしました。
単語も徹底的に覚えましたし、塾にも通っていました。

奨学金はどのようなオファーを受けましたか?

Navarro Collegeでは学費免除されるオファーで、寮費や生活費と保険などは自分で払っていました。ですので費用は約半分くらいで抑えられていました。
現在の大学では学費と寮費の90〜95%が奨学金でカバーされています。保険などは自己負担ですが、シーズンオフの学期に学内で働けば残りもカバーできると聞いているので、勉強の様子も見つつですが学内でのアルバイトもしていければと思います。

渡米前にやっておけばよかったと思う準備はありますか?

英語の日常会話をもっとやっておけばよかったです。
日本では英語に触れる機会が少ないので、やればやるだけ良かったと感じます。
学業面では自分の勉強方法を知っておくと大学でも困らないと思います。
競技面では自分の特徴や特技を徹底的に磨くこと、筋トレもやっておくべきだったと感じました。

大学生活とサッカーのリアル

1日のスケジュールを教えてください

授業は朝8時から始まり、1コマ75分を3連続で受講します。
そこからだいたい12時過ぎに終わって昼食をとり、その後課題を3時間ほどやってから16時半から練習です。夜は課題や予習復習の時間も取りながら、ストレッチしながらリラックスする時間もしっかりとっています。

学業とサッカーを両立するうえで工夫していることは?

同じクラスの人と友だちになることです。以前は話しかけるのが苦手でしたが、今は連絡先を交換して分からないことを聞けるようにしています。
教授との距離も近く、クラス人数は最大25人程度で小規模なので、学びやすいです。

チームの雰囲気や文化、日本との違いを感じることはありますか?

練習中はピリッと集中し、ロッカーでは和気あいあいしています。
たまたまチームの雰囲気かもしれませんが、4年制と2年制での違いをここはすごく感じます。
チームはインターナショナルが多く、25人中8〜9人がスペイン語を話す選手です。女子サッカー部で日本人は私が初めてです。
コーチはアメリカ人の方です、規律に厳格で、暴言でイエローカードを受けた選手がどんなに上手くてもキープレーヤーでも、次の試合ではベンチスタートになりったりもします。
ミーティングも多く、練習からちゃんとやればしっかり評価してくれるとても筋の通ったコーチです。

その中でサバイバルしていくために、練習から常に本気でやっていないと使われなくなってしまいます。技術ももちろん大事ですが、とにかく負けないというメンタルであったり、試合でのチャンスを絶対にものにするという気持ちはこれまで以上に必要だと実感しています。
これまでもずっと負けん気をもってプレーしてきましたが、これまでの3倍、4倍増しではないと生き残っていけない熱量だと感じています。

コーチやチームメイトと英語でコミュニケーションをとるうえで最初に苦労したことは?

やはり英語です。最初は全然聞き取れなくて、何度も聞き返していました。
コーチは根気強く教えてくれますが、チームメイトには冷たくされることも正直ありました。
でも、そこで落ち込んでいる暇はないので、「まあいいや」と切り替えてやってきました。

アメリカの女子サッカーのレベル感や試合環境は日本と比べてどうですか?

日本は技術重視で、アメリカは技術+フィジカルが必須です。50/50のボールは絶対負けちゃダメというチームの文化があり、そこは改めて意識をしてます。
日本ではファールになりそうなタックルもここでは流されることが多く、当初は驚きました。
大学のピッチや施設はとても綺麗で、人工芝と天然芝のが備わっています。天然芝の業者がしっかりと手入れをしてくれていて整っています。使用するのは人工芝メインではあります。真ん中に学校のロゴが入っていてホーム感が強いです。
ホーム戦には結構来てくれて、学生も応援に来てくれて盛り上がります。

生活・メンタル・サポート体制

寮やアパートなど、住環境はどのようになっていますか?

今の大学はオンキャンパスの寮とアパートのどちらかを選べる仕組みです。
私は共同キッチン付きの最新寮に住んでいて、2人部屋が3つ集まった6人ユニットで、トイレとお風呂を共同で使います。
今のルームメイトはアスリートではないアメリカ人学生で、隣の部屋にはチアリーダーチームの生徒がいます。
部活ごとに棟が分かれているところもありますが、私は今は混合の寮で生活しています。

食事や健康管理はどうしていますか?

学食は質が高く、選択肢も豊富です。
自分でも電子レンジでパスタやお米が調理できる器具を持ち込んでバランスを考えながら食事管理をしています。
前の大学では食の選択肢が少なく、味も良くなかったのでストレスに感じることもありましたが、今は管理しやすくなりました。

怪我をした時のサポートはどうですか?

サッカー部専属トレーナーが常駐しており、予約サイトで時間を取ってトレーニングルームでケアしてもらえるシステムになっています。
コーチングスタッフが全員男性なのですが、女性アスリート専用の相談窓口も学内にあるので、相談しやすい環境が作られています。
おかげで私はここまで大きな怪我はほとんどありません。

ホームシックや不安な時、どうやって乗り越えましたか?

日本食が恋しかったり、家族友達に会いたいと思うことはもちろんありますが、ホームシックはほとんどありません。
正直馴染めないと感じる時もありましたが、やるしかないと切り替える気持ちで乗り越えています。

将来のキャリア・ビジョン

卒業後の進路として考えていることはありますか?

最終的には自分のチームを持って指導したいです。
そのために経験が必要なので、卒業後は日本以外のプロでプレーしたいのが今一番近い目標です。
数年プレーした後、日本に戻って中高年代の女子を育成するチームを作りたいと思っています。
女子サッカーをもっと盛り上げたいです。

アメリカでの経験が今後のキャリアにどうつながると思いますか?

言語の面はもちろん通用しますし、日本では味わえない試合の速さや基準も学べます。
何よりこの環境を乗り越えた強さや自信はどんな道にも活きると思っています。

これから海外を目指す方へのアドバイス

高校生に「今からやっておくと良いこと」を3つ挙げるとしたら?

英語、勉強方法、自分の強みを理解することです。

英語は言わなくても分かる通り必須ですし、自分に合った勉強の仕方を知っておくとテストでも結果が出せます。

自分の強みは絶対に知っておくべきだと思います。サッカーでも生活でも同じです。
例えば、ドリブルが得意なら勢いでドリブルを見せつけたりそこにこだわりを持ってプレーをしていくと、それをみたチームメイトやコーチが自分を理解してくれ信頼してくれるし、その信頼のもと、「この子にパスを出せば決めてくれる」という形で繋がります。自分を信じて突き進むことも時に必要なのでそのために自分の強みを理解できると良いと思います。

留学を目指す選手へ、最後にメッセージをお願いします

正直、辛いことも多いし、でもその分楽しいことも多いです。
私の場合は辛いことの方が比率でいうと多かったけれど、乗り越えた後の達成感は半端じゃないです。
テストで追い込まれながら勉強して、サッカーして、いい点を取れた時の喜びは本当に大きい。成績が数字で出た時の嬉しさは格別で、それがモチベーションと自信につながっています。

家族の存在も大きいです。母はいつも「頑張れ」とメッセージをくれて、父は時々「ちゃんと勉強もしなさい」と連絡してくれます。
そのおかげで頑張ろうと思えるし、両親への感謝を改めて感じます。
この経験を通じて、家族のためにも頑張ろうという気持ちが強くなりました。

自分の努力ももちろん大切ですが、たくさんの人に支えられてサッカーと勉強の両立ができ夢を目指せています。そのことは常に心において挑戦ができるといいと思います。

最後に

インタビューを通して改めて感じたのは、アメリカでサッカーを続けることの大変さと、その先にある成長の大きさでした。

技術が通用しても、フィジカルの当たりや50/50の強さで勝ち切る必要がある世界。そして、試合に出るためにはただ上手いだけではなく、チームの原則を理解し、毎日の練習から本気で取り組む姿勢が問われる。

小瀬さんの話からは、自分の強みを明確にし、努力を積み重ねることで道が開けること、そして挑戦することでしか得られない自信と成長があることを強く感じました。
どんな逆境でも腐らずにひたむきに努力を続けられる彼女だからこそ、手を差し伸べてくれる周りの人や、良い指導者、チームメイトとの出会いを引き寄せているのだと思います。

これから海外進学を目指す高校生やその家族にとって、勇気を持って一歩を踏み出すきっかけになる貴重な要素がたくさん詰まっているのではないでしょうか。

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